
機器修理奮闘録PC-6001編
はじめに
こんにちは。獺祭です。
ご存知の方もいるかもしれませんが、NITMic部室にはゲーム機を主として様々な機器があります。 しかし、それらのうちいくつかは不具合を抱え、うまく動作しませんでした。 そこで、部室にある機器の修理を部員の皆さんと協力しつつ初心者なりに頑張ってやってみました。 今回修理したのは…
- PC-6001 (Name所有)
- ツインファミコン
- PS2 初期型
の3点です。 この記事ではPC-6001修理についてお話しします
本編
PC-6001と現状の確認
PC-6001は、新日本電気から1981年に発売された8bitマイコンです。 修理した個体は長年倉庫で放置されていたものらしく、銘板はさび付き、可塑剤と思われる緑のべたべたした液がコンセント部分についていました。
しっかり液を拭き取って電源を入れると、通電してくれましたが、画面の表示がおかしくなっていました。 最初に確認したときは、"?“が画面いっぱいに表示されたのですが、2回目以降は何も表示されなくなってしまいました。 今回はこれを修理し、さらにROMデータを吸い出そうと思います。
はじめての分解
この症状は間違いなくメイン基盤での異常によるものでしょう。一度分解してみます。 ひたすらねじを外していくのですが、さすがNITMic部室、あらゆるサイズのドライバーがあり、大体のねじはスムーズに取り外せました。 が、基盤を筐体に固定するねじだけはガッチリと嵌まっていてどのプラスドライバーを使っても舐めるだけ… ここでねじをよ~く見てみると、輪郭が六角形。 もしかして、と思いながら部室にあったドライバーセットに六角ソケットのビットをセットしてみます。
やりました!5.5mmの六角ソケットがガッチリはまり、スムーズに抜けていきました。どうやらアプセットボルトというものだったようです。 全く初めてのことだったので、ここまでに数時間費やしました。
解体の経過。コネクタの固さと緊張で汗だくになった。
はじめての再はんだ
これが取り出した基盤です。すごい量のICチップですね。これでも家庭用の比較的小規模なコンピュータだったんです。 今のコンピュータのマザーボードと見比べてみると隔世の感があります。
さて、この基盤を見てみるとコンデンサ膨張などの明らかな異常は見られません。 ググってみると、PC-6001は基盤のタンタルコンデンサが経年劣化して異常が発生するというパターンが多いようです。 他に打つ手もないので、我々も交換を試してみます。 しかし、道具類は一切ありません。早くも絶望かと思われましたが、幸いなことにOrange君が私物の温調はんだごてを貸してくれたのでメドが立ちました。 パーツについては、タンタルコンデンサではなく、電気容量と電圧が同じ値の電解コンデンサで代用します。 大須のボントンさんで見てみると後者は前者の7分の1と圧倒的に安価だったのです。全部で8個交換することを考えると結構でかいですよね。 安いぶん寿命が短くなっちゃうらしいのですが、とりあえず一旦動けば良いのでそこは問題ありません。
交換作業はNameさんと協力して行いました。彼もはんだ付けの経験はあまり無いとのことでしたが、ジャンク関連の知識は間違いなく私より豊富だったので、ずっと心強いです。 固くて中々取り外せませんでしたが、一人がはんだを除去し、一人が基盤の下からペンチで引っこ抜くアクロバティックな動きでこれをクリアしました。
画像1枚目のように青いやつを引っこ抜いて、画像2枚目のように新しいのを取り付けていく
まあまあギリギリなので少し傾けて取り付ける
取付の方もつつがなく終了!
起動にも成功しました!やったね!!
CMTインターフェース故障疑惑
続いてROMの吸出しです。PC-6001はマシン語モニタに入ることが出来ないためIshioka氏が作成されたsaverというBASICプログラムを用います。 幸いにもCMTケーブルはあったので、部室PCから音声を出力し、PC-6001でCLOADしてみましたが、うまくいきません。 LINE OUTからもPHONE OUTからも読み込めないので、プログラムを手打ちして、PC-6001から部室のデスクトップPCへの出力を試しますが、こちらもうまくいきません。絶望。
頑張って手打ちして録音しても全くの無音になってしまった
CMTインターフェースの故障を疑いもう一度基盤を取り出して見てみますが、見て分かる範囲に異常は見られません。
音声出力ジャックと制御用IC 特におかしなところはない
ROM吸出し再・再々アタック
そしてゲーム機を修理したりしている間に1か月が過ぎました。逃げちゃだめだの精神でもう一度向き合います。
相変わらずCLOADはできませんでしたが、適当なプログラムを書いてCSAVEを試してみたところ録音に成功しました。 前回はデスクトップPCにCMTケーブルの出力端子だけを挿しこみ、入力端子は抜いていたのですが、これが録音に失敗した原因だったと考えられます。 またCLOADの方もAudacityで13dBほど増幅してあげたらあっさり成功しました。 早速ROMデータの吸出しを行います。 録音できた音声データを8bitでエンコードして森川氏のP6DatRecで.p6ファイルへの変換を試みますが、失敗しました。
波形をよ~く見てみると、エンベロープが5~60Hzくらいで波打っているではありませんか。明らかに電源ノイズです。それ以外にも微細なノイズが入りまくって波形がガタガタです。 Audacityでノイズ減衰させてみたり、スペクトル解析して余計な帯域にはバンドパスフィルタを通してみたり、位相反転したりしてみましたがどうもうまくいきません。
結局Nameさんのオーディオインターフェースをお借りして、ようやくきれいな波形の録音に成功しました。 P6DatRecでの変換は相変わらずうまくいきません。ダメ元でTiny野郎氏のなんでもピーガーで波形をbinファイルに変換し、さらにCRC32の値を算出・チェックしてみました。 CRC32とはデータの誤りを検出するためのアルゴリズムで、算出される値を比較することでデータ間の誤りを検出できます。 すでに有志がROMデータのCRC32の値を算出してくださっていたため、これと比較してみると…一致しました!
拡張子を.60に書き換えてみるとエミュレーターも起動しました!ROM吸出し成功です!
おわりに
今回の作業は成功と言って差し支えないと思います。これも先人の方々が公開してくださった知見やツールと、協力してくれた方々のおかげです。ありがとうございました。 修理を終え、何回目かも分からないほどやった再組立ての後、さっきまで動かなかったマシンが動いた時の嬉しさというのは素晴らしいものです。 最後に皆さんに伝えたいことは、PC-6001の基盤はプラスドライバーで頑張るんじゃなくて5.5mmの六角ソケットを使って外すこと、そして入出力信号の強さとノイズには気を付けようということです。 それでは、またお会いしましょう。













